こんにちは。
2020年10月11日(日)
前回のブログ「フライタイイング 第4話 コバス爆釣!マックポッパーの製作」
の記事でご紹介した、”マクドナルドのストロー”を使って製作する小型のポッパーフライですが、意外と「製作がメンドクサイ」と思われる方がいるようです。
メンドクサイと思われる原因は、餌釣り用の針にアイ(ループ管)を作ったり接着剤を使ったりする、普段の毛鉤巻には必要の無い「工作的な作業」がある事が原因だと思われます。
この工作的な作業に掛かる手間は、「量産」する事により、一個あたりの作業効率を上げて解消するのが最善の方法だと思います。
今回は、マックポッパーの量産工程を記事にします。
① 材料の準備
上の画像が ”マックポッパー” の材料のほぼ全てです。
バックアップ材の固定に、多用途タイプの接着剤が必要ですが、”超多用途接着剤 セメダイン 「スーパーX」シリーズ” か ”コニシボンド ウルトラ多用途SU ” など好みのものをお使い下さい。
”セメダインスーパーX” の方が粘度が薄くて塗りやすいので、この記事の中では使用しています。
2020年10月18日 追記
ストローとバックアップ材の接着は、この後にイロイロ試行錯誤した結果、現在 ” ボンド プラスチックGPクリアー ” が一番調子良いです。100円ショップ・ダイソーでも入手できるので大変便利です。
ちなみに、このようなチューブタイプの接着剤は、” エコスタンド ” とよばれているチューブ立てを装着して使用すると、使い勝手が抜群に向上しなお且つエコです。ホームセンターのキッチン用品コーナーで安価で入手できます。
ストローとフックの固定にはスレッドを掛けるのですが、その際にスレッドのほつれ止めに使う「ハケ塗りタイプの瞬間接着材」もあると便利です(無くても製作可能)。
各パーツなどは個人の好みで変更可能なのですが、「ポッパーフライなんて作ったこと無い…」という方もみえますので、はじめて作る際になるべく入手しやすい材料を選んでいます。
フックは「ハヤブサ プロバリュー メバル白」65本入で400円くらいの値段です。釣具量販店なら、どこででも売っていると思います。
「伊勢尼針」とか「チヌ針」は軸が太いので、完成したポッパーが沈みやすいです。それに、太い針は魚が大きくないと刺さりませんから私は使ってないです。
メバルの餌釣り針は、軸が細くて軽いのでポッパーを作るには向いています。10号サイズがマクドナルドのストローとバランスが良いです。
ハリスを結ぶ「アイ」となるループを作る材料には、「バッキングライン」と呼ばれているフライラインの下巻きを使っています。これが一番安上がりだと思います。
太さは20ld カラーは白です。フライ用品を扱っているお店やネット通販で購入できます。この太さは一般的の購入できる物の中では一番細いです。入手できるならもっと細くても構いませんね。
100円均ダイソー リリアン
”ダイソーのリリアン”でも代替可能です。60m分が100円ですので、コストを究極まで下げたい方にはオススメします。
ストローをフックに固定するのに使っているスレッドは、上の物を使っています。浮かせるものを作る時は、吸水性の無い材質のスレッドが向いています。
これも細過ぎないスレッドなら何でも可能ですので、改めて購入したくない方は手持ちのものを使って下さい。100均 ミシン糸でも可能。
ポッパーのボディの中身になるのは、「バックアップ材」と呼ばれる建築資材です。どこのホームセンターでも購入できます。メーカーにより若干の太さにバラツキがありますが、製作には支障はありません。
サイズは、Φ6ミリです。このサイズの太さのバックアップ材と、マクドナルドのストローの内径が無加工でマッチします。需要が低いのか、意外と6ミリサイズのバックアップ材のみ在庫していないお店が多いです。
そして、最後が「マクドナルドのストロー」です。私はアイスコーヒーを注文して入手していますが、シェイクや他のアイスドリンクも同じストローみたいです。
たくさん欲しくても、ダストボックス(ゴミ箱)から拾ってくるのは止めましょう。「衛生上の問題がありますから…」と、店員から注意されます。
では、製作の説明に入ります。
② フックのバーブレス加工(※省略可)
通常のフックには、ほとんどカエシが付いていますので全てダイヤモンドヤスリで削り落とします。フライフィッシングは長いラインでフックを振り回しますから、安全のためにカエシは無い方が良いのです。
マクドナルドのストロー一本で、20個のポッパーが作れますので、20本のフックのカエシを削り落とします。それほど時間は掛かりませんので、始めに全部削っておくと、テンポよく作業が進みます。
※ バーブレス(カエシ無)を希望されない方は、この①の工程は必要ありません。
③ 各材料の切り出し
次にバックアップ材をカッターでカットします。完成するとボディの全長は1センチくらいですが、製作する時に指で掴む部分が必要ですので、約4~5センチにカットすると作業がしやすいです。ハサミで切っても構いません。
ループになるバッキングラインをカットします。約5~7センチくらいですね。
最後にストローをカットしますが、メバル針10号で作るなら 予め1センチ刻みに細いマジクで印を付けておくと作業が楽です。カットする長さは使用するフックの長さで変わりますが、先に印を付けたほうがカットは楽です。
印を付けた所を垂直にカット。マクドナルドのストローだと1センチ刻みで20個ほど取れます。
材料の切り出しはこれだけです。ここまでお読みになった方の中には「けっこう手間だなぁ…」を感じる方もいるかもしれせんが、実際にやってみると時間が掛かるのは、フックのカエシを削る所だけです。
④ アイ用ループの設置
カエシを削ったフックをタイイングバイスに取り付けます。
下巻きをヘッド側から1往復します。
切り出したバッキングラインを2つ折にしてフックに乗せて2回ほどスレッドで巻いて止めます。アイになる穴に、軸の丸いもの(何でも良い)をバッキングラインのループに入れて、ラインの後端を引っ張り混むと穴の大きさが揃います。
フックのストレート部分にスレッドを巻き、バッキングを固定し余分をカットします。
スレッドのホツレを防ぐために、ここで一度ハーフヒッチャーを使いスレッドを止めます。
⑤ ストローの装着
切り出したストローをフックに通し、スレッドで下側をたすき掛けして固定します。
ストローの後ろ側(前でも良い)で、指で輪を作ったループでハーフヒッチしてスレッドをカットします。
この状態でフックをバイスから外します。コレを①の工程で用意した分だけ作ります。
⑥ スレッドの接着固定(※省略可)。
②で製作した、ストローを装着したフックのスレッドで巻いた部分を、瞬間接着材を使って固定します。上の画像は100円ショップで入手したものですが、ハケ付きタイプのものが便利です。
ストローの内側と外側の両方のスレッドで巻いた部分に、瞬間接着材を少量塗って固定します。
上の画像は瞬間接着材を塗ったフックを乾燥させているところです。
上の画像のような、ペットボトルのフタに串カツや串焼きの串をガムテープで固定して作った、簡易的なスタンドを使っています。バックアップ剤を接着した後の乾燥時にも使いますので、最初にこのようなスタンドを作っておくと便利です。
※ この③の工程は省略可能ですので、作業工程を減らしたい方は、④のバックアップ材を挿入・接着した後に、ストロー下側にも接着材を塗って下さい。
⑦ バックアップ材の挿入で作業は一旦終了
③で塗った瞬間接着材が乾いたら、②でカットしておいたバックアップ材を挿入します。
この作業は、もう一度バイスに固定したほうがやりやすいです。
爪楊枝で接着剤を少量取り、カットしたバックアップ材の側面に塗りストローの後ろから挿入します。
上の画像は、分かりやすいようにバックアップ材の前面を黒く塗っています。水をつかむためにストローの前端から、1~2ミリの隙間を空けた所までバックアップ材を入れます。
※ ③の工程を省略された方は、この後の乾燥工程の前にストロー下側のスレッドをたすき掛けした部分にも、接着剤を塗ります。
③と同じようにスタンドに掛けて接着剤を乾燥させますが、瞬間接着剤のようにすぐには乾きません。ですから、製作作業はココまでで ”一旦終了”となります。
接着剤が完全に乾くまでには、半日ほど待ったほうがいいです。乾燥が済んだ時点で④の工程は完了です。
この ”ストローとバックアップ材の接着終了” までに時間が掛かりますから、マックポッパーは ”一度にたくさん作らないと”、作業効率が非常に悪いのです。
そして、この⑦までの工程を完了していないと…
「明日バス釣りに行くから、今からマックポッパーを 3・4個作ろうっ!」という事が不可能です。
ですから、このポッパーで釣りをするシーズン中は、ここまでの工程は時間に余裕がある時に済ましておかなくてはいけません。
⑧ ボディの整形とテールの取り付け
⑦までの工程で作ったものの乾燥が終了したら、ストローの後ろの部分をカットします。少し斜めにカットすると見栄えが良いです。この作業はバイスに固定しないほうがやりやすいです。
ストローのカットが終了したら、テールに取り付けるものと同じ色にスレッドをストローの直ぐ後ろに掛け、テールを取り付けて完成です。
前回4話にも書きましたが、実際にはストローとバックアップ材は接着剤で完全にくっついているワケではありません。
ストローの直ぐ後ろにテールを取り付ける事により、”テール自体がバックアップ材抜け防止のストッパー” となっています。
⑦までの工程を完了さえておけば、⑧の工程はアッという間に終わります。
10号のメバル針なら、マクドナルドのストローで20個作れます。マックポッパーを製作する時は、⑦工程までを一度に20個作りストックしておく事をオススメします。
そして、必要なった時に必要な分だけ、⑧の工程を行い完成させればいいと思います。
アイ付きバーブレスフックを使えば作業工程大幅省略可能。
メバル用ワームフック、”カルティバ フロートリガー#6番”やフライフックのような、はじめからアイがあるフックを使用して製作すれば、④のアイ用ループを設置する工程は省略できます。
フロートリガーも安価なフックですので、マックポッパーを量産するには向いていますね。
取り扱っているショップが少ないのが難点ですが、私が住んでいる名古屋近郊では、「イシグロ西春店」・「釣具のマルハン」が常時在庫しております(2020.10.11現在)。
名古屋近郊で、”カルティバ フロートリガー#6番” を取り扱っている釣具店さんをご存知の方は、”コメントページ” に書き込んでいただけると嬉しいです。
今後 マックポッパーは作れなくなる!?
少し前にメディア報道されてかなり話題になりましたので、皆さんご存知だと思います。例の「鼻にストローの刺さった亀」。
昨今は環境保護の観点から、「プラスチックストロー廃止」が、急激に叫ばれております。
スタバとマックの「プラ製ストロー全廃」は本当に環境に優しいか。
プラスチックストローは、早かれ遅かれ いつかお店では廃止される運命なのは確実でしょうね。
マックポッパーを作る方、または いつか作る予定のある方は、マクドナルドに行ってアイスドリンク(シェイクも)を注文したら、ストローは捨てずに持ち帰りましょう。
「別に店がプラスチックストローを提供するのを止めても、市販品のストローが市場から無くなるかワケじゃない。いざとなったらキッチン用品コーナーで買えばいい」
と思っている方もみえるでしょうが…。
残念ながらダメなんです…マックのストローは独自のサイズなので、市販品のストローではあのサイズが存在しません…。マック独自規格のサイズなのです。
マックシェイクのストローに隠された秘密:秘密はストローにあった
飛躍的にシェイクの売り上げが伸びた改良が「ストローの太さ」の改良なのです。人間が最もおいしさを感じるスピード(喉ごし)というのが、母乳を飲む際のスピードであるというマーケティング結果にたどり着き、どうすれば母乳を飲む際の喉ごしになるのだろうかと研究された結果が、今のストローの太さなのです。一般的なドリンクに使用されているストローよりも一回り太くしたことにより、ある程度の吸引力が必要になり、シェイクのドロッとした液体がゆっくりと上がってくる絶妙なスピードを生み出しました。
「一般的なドリンクに使用されているストローよりも一回り太くした」とありますが、その事により市販の直径6ミリのバックアップ材が、そのまま無加工で挿入できます。
文章は、”マックシェイク”について書かれておりますが、アイスドリンクもストローは同じです。
マックのストローをポッパーの材料にすると、1本で20個くらい作れますので、今のうちからこまめに持ち帰ってストックしておけば、いつか廃止されても困る事は無いと思います。
私もせっせと集めていますが、寒い季節になるとアイス(コーヒー)ドリンクは飲まなくなるので、これからの季節は集めにくいですね。
シェイクを注文して集めようかな…(←シェイクも冷たいだろっ!)。