こんにちは。
2022年12月16日(金)
先日更新したブログ「フライフィッシングで鯉釣り! 3話」の中で紹介したフライの製作記事です。
一般的な球状のエッグフライと違い「火の玉」のような形状ですので「ファイヤーエッグ(火の玉子?)」と名付けました。
『鯉』以外にもサイズやカラーを変えればイロイロな魚に効果がありますので、この記事を読まれた方はぜひ一度作ってみて下さい。
冒頭の画像のように、アレンジとしては「浮力材」や「ビーズ」「テール」などを付けたりできます。
今回はベースとなる一番シンプルで基本的な巻き方を紹介します。
このフライは下のタイイング動画を参考にしましたので、ぜひこちらも御覧ください。
マテリアル(材料)のご案内。
下の写真が全てです。たったこれだけです。
一番右端に写っている接着剤は、巻終わりの「スレッドセメント」の代わりに使っていますので、なくても構いません。
メインとなるマテリアル(材料)は『キャップス社:シルクヤーン』です。
全16色ありますので、お好みのカラーを用意して下さい。
上の商品のように一般的な『エッグヤーン』と呼ばれるものは「化学繊維」でできていますが、「シルクエッグヤーン」は商品名通り「シルク=絹」です。
今回は「#6 アプリコット」カラーで巻いております。
一袋の中に長さ2mのヤーン束が入っておりますが、束がかなり太いので私は上の写真のように、一束を2つに分けて使っております。
ですから、実質的には束の長さは4mになります。これでもけっこう太いので、#10番より小さなフックに巻くのなら、3つに分けても良いくらいです。その場合は6mになりますね。
私が購入したフライショップでは、これで実売価は「¥360-本体」です。量が多いのでかなり安価です。一袋でたくさんのフライが巻けます。
「フライ用品は何でも¥高い…」「手芸店や百均ショップを探せば安く買える…」
などと…私はいつも書いておりますが、このマテリアルだけは代替品を探すまでもありませんので、素直にフライショップに足を運んで買いましょう(廃盤になる前に…)。
私も各色用意しております。安価ですから、全色まとめ買いしても良いくらいです。
使用しているフックは、手持ちの#6番『マルトフック製:No.c46FGBL-1X』を使っております。
これから作ってみようと思っている方は、入手が容易で値段が安い「餌釣り用のカン付きチヌ針」などもいいですね。『鯉用』に巻くのなら、一番大きなサイズのフックがオススメです。
スレッドは丈夫なPE系の「ビーバスGSP100D」を私は使っています。力を掛けて巻くので、お手持ちの中で一番強いものを使って下さい。
スレッドを巻き止めた最後に使うセメントですが、私は容器が秀逸な「セメダイン:瞬間接着剤」を使っています。これでなくても構いません。
ぜひ用意したいっ!「C&F製 ロータリーツイスター」
上のタイイングツールは、C&Fデザイン製の「ロータリーツイスター」という、ダビングツールです。
「ダビング」というタイイング作業は、上の動画が分かりやすいと思います。
「C&Fデザイン製 ロータリーツイスター」は多少高価ですが、とても便利ですので、この機会にぜひ購入を検討してみて下さい。
全てのダビング作業が快適に行なえます。
一般的な「エッグフライ=玉状」のタイイングは難しい…。
『ファイヤーエッグ』のタイイングは「ループダビングしたシルクヤーンをフックに巻きつける」だけです。
何も難しい工程はありません。写真でフライの形状だけを見ていると難しく感じますが、実は通常の「エッグフライ」のほうが、奇麗に玉状に巻き上げるのは難しいのです。
上の動画はいつも参考にさせてもらっている『車田フィッシング』さんが、先日公開したものです。
この動画の中で車田氏は「エッグフライは巷で言われてるほど簡単ではない…」と言われております。まったく同感です。
通所の「エッグフライ=球状」を奇麗に玉状に巻き上げるよりも、今回の『ファイヤーエッグ=火の玉』のほうが数倍製作が簡単なのは、作ってみれば誰でも分かります。
『ファイヤーエッグ』タイイング手順
1.バイスにフックをセット。
「バーブ=カエシ」がある場合は、この時点で潰すなり削り取る事をオススメします。
特に「フライフィッシング」で使うフライは、自分と周囲の安全の為に、フックは全て「バーブレス」をオススメします。
私自身は「バーブレスフック」でないと、恐くてとても釣りはできません。
特に「フライフィッシング」など、10m前後の長いラインを常に振り回す釣りです。
実際にフライフィッシングをしていると、自分の衣服などに針が掛かる事も多いですから、「カエシの付いたままの釣り針」でフライフィッシングを行うなど、私にはとてもできません。
自分はまだしも、同じ釣り場に居る他人に刺さったらどうするのでしょう…。
そんな釣りをする人のそばには近寄りたくもないです。
2.下巻き。
完成した状態では、ヤーンをテール状に後ろになびかせますので、通常よりも後ろまで下巻きします。
3.ダビングループの形成。
スレッドで「輪=ダビングループ」を作り、アイの後ろまで移動させます。この段階で一旦ハーフヒッチ。
4.シルクヤーンの切り出し。
束を2つに分けたシルクヤーンを、先端をクリップに挟んだ状態でカット。
カットする量や長さはフックサイズにより調整しますが、多少 多めで長めにしておいたほうが良いです。
5.ダビングループをダビングツイスターにセット。
「工程3.」で作った「ダビングループ」を「ダビングツイスター」にセットします。
6.ダビングループにシルクヤーンをセット。
ダビングループの中に「工程4.」で切り出したシルクヤーンをセットします。
7.ダビングツイスターを回転させループにヤーンを撚りつける。
ダビングツイスターを指で弾いて回転させると、上の写真のようにスレッドにヤーンが撚り付きます。
8.フックシャンクへの巻き付け。
「工程7.」で作ったものを、アイの後ろまで巻き上げます。力を入れてしっかり巻き付ける必要がありますので、なるべく強いスレッドでないと切れてしまいます。
9.ハーフヒッチしてスレッドをカット。
アイの後ろまでダビングループを巻き上げて、スレッドをハーフヒッチ。
10.スレッドほつれ止めの接着。
スレッドをカットした部分に、瞬間接着剤を少量塗りほつれ止めとします。
実は今回のタイイングはここから後が本番なのです。
「工程10.」までは何も考えなくても誰でもできる、ただの「軽作業」です。丁寧に作業する必要はありません。
ここまでは雑で構いませんので、スピード重視でサッサと進めましょう。
量産する場合は、一旦この「工程10.」まで終了したらフライをバイスから外します。新たなフックをバイスにセットし「工程1.」から再スタートして下さい。
11.仕上げ作業開始。千枚通しでピックアウト。
「千枚通し」などの先が細くて鋭い器具を使い、フックに巻き付けたシルクヤーンを掻き出します。
この「掻き出し」作業を、タイイング用語で「ピックアウト」と言います。専用のツールもたくさんあります。
「ダビングループ」をフックにしっかり巻き付けていないと、この掻き出し作業で「型崩れ」してしまいます。
「ピックアウト」の掻き出し具合で、完成したフライの「フワフワ感」が決まります。
この作業が今回のフライタイイングのメイン工程です。
12.整形して完成。
「ピックアウト」したヤーンを指で後ろに撫で付けて整形し完成。
あくまでも完成形状は「工程11.」のピックアウト具合で決定されます。
作業自体は単純で工程も少ないですから、慣れれば短時間で量産可能です。
フックサイズやカラーを変えたり、自分なりにその他の物を付け足したりと、イロイロとアレンジしてみて下さい。
現在 フライ用品は危機的状況…。
最後に蛇足ですが書かせて貰います。
今回のタイイングのメインマテリアルとなる『キャプス社製:シルクエッグヤーン』ですが…。
私が以前購入したフライショップには、ほとんど在庫はありませんでした。全16色中の2色のみが数点…。
フライショップスタッフの方のお話では、メーカー(キャプス)さんの営業担当者も、ここ数年店に現れていないそうです。
「メーカーさん自体が…もぅ…フライ用品は売る気が無いのでは…」
とのお話でした…(泣)
今はネット通販などを利用すれば、何でも入手は可能だと思われそうですが、販売元自体が製造を止めてしまえば、現在流通している在庫のみで終了です。
フライ市場はこの先 賑わう事は無いと思いますので、一度消えてしまった物は今後二度と生産される事はありません。
今回のように割と安価なものは、在庫が残っているうちに入手しストックしておく必要がありますね。